こんにちは!山科です。
今回は自分の好きな本について書いていきます
キノの旅
この本が僕の一番のバイブルです。
ざっくり説明すると主人公キノと相棒のエルメス(バイク)がいろんな国を旅していくというお話です。
国ごとに伝統や文化、発展度が違いすべてが機械化されて働く必要がなくなった国や未開の地にあり原始人ののような暮らしをしている国もあります。
それらの国々は今の僕らの価値観では到底考えられないものが多く、現代社会を風刺した話もあります。
それらの寓話的要素がこの作品の持ち味であり独特な雰囲気を生み出している小説となっています。
この本の作者である時雨沢恵一先生はあとがきに一工夫を加えるのが好きな先生であり、カバー裏に潜ませたり裏表紙に書いてみたり本の隅につけたりと凝ったことをします。
とても面白い作品でアニメになったりゲームになったりしているので興味のある方は是非調べてみてください。
へんないきもの
この本は文字通り変な生き物を紹介する本となっています。
表紙を飾っているのはオオグチボヤと呼ばれる生き物で深海に生息しており小エビやプランクトンをその大きな口でぱくっと食べてしまいます。
このような人間から見ると笑えてしまうような生物を面白おかしく文章で表しており、なぜこの生物はこのような進化をしたのかと考えてしまう一冊となっています。
僕がこの本を手にしたのは小学生の時で確実に僕の興味の方向性や人格に影響を及ぼした本だと思います。
早川いくを先生はその他にも「かっこいいほとけ」や「進化くん」といった本を出版しておりそのすべてが学術的知識とそれらを茶化すおちゃらけたギャグで書かれていて楽しく学ぶことができるのではないだろうかと思います。
李陵
この作品は中国史をもとに作られており李陵は勘違いによって武帝に一族を皆殺しにされてしまった悲劇の将軍です。
もとは優れた将軍でありましたが、匈奴(モンゴルの遊牧民族)に敗れて降伏してしまいました。
それによって武帝が激怒、臣下も怒りを恐れて同調しますが司馬遷はただ一人李陵の肩を持ち説得を試みました。
しかし説得に失敗し逆上した武帝により宮刑(ち〇こ切断)に処されてしまいました。
さらに匈奴からの使者より「李陵が私たちに戦術をおしえてくれている」という情報を伝えられ武帝は怒りのあまり李陵の家族全員を殺してしまいました。
しかしこれは間違いで、先に降伏した漢の将軍李諸が教えていたという情報を漢の翻訳者が間違えて訳してしまっていたのです。
家族の理不尽な死を聞いた李陵は怒り狂い李諸を殺害し北の地へ赴くことになりました。
その地で李陵は蘇武という友人に出会います。
この将軍も匈奴に捕らえられ北の辺鄙な場所に軟禁させられていたのでした。
そして数年が過ぎ、武帝が亡くなったことを聞き使者が漢より来てまた戻ってこないかという話を切り出されます。
しかしこれを断り没するまで匈奴に残り続けました。
蘇武は武帝が死んだ際、匈奴の頭である単于から帰国を許可され無事漢に帰ることができました。19年間の拘留の末でした。
司馬遷は宮刑に処されるも父の遺言であった史記を書き上げました。
今回の李陵の話は漢書という司馬遷の書いた歴史書に記されています。
こんな感じの話ですが、この本の凄いところは李陵が蘇武に感じた劣等感や自己嫌悪の念を丁寧に描いていることです。
李徴は北の地から内地へ戻った時単于の娘と結婚し匈奴の幹部として漢と戦うことを決めたのですが、蘇武は自分の愛する国である漢に対して背くことはできないとして北の地で飢えや寒さに耐え忍んでいました。
そこに武帝の死の報告が入り蘇武は嘆き悲しみましたが、李陵は何の悲しみも感じず、蘇武の国を愛する偉大さや19年の拘留に耐えた精神力に尊敬の念を感じるとともに自分の無情さに嫌気がさすという情景が描かれています。
作者の中島敦の作品は劣等感や自己嫌悪を扱った作品が多く「悟浄難異」という本(西遊記のカッパからみた悟空達の話)では「三蔵法師や悟空、猪八戒に比べて俺は何の重要な役割も持たないただの調節者、忠告者、観測者に過ぎず行動者にはなれないのだろうか。」といったような沙悟浄の暗鬱とした気持ちを綴っており
「山月記」では李徴が尊大な自尊心と羞恥心のあまり虎となってしまいます。
袁参が大勢の部下を引き連れているのに対して秀才であったが虎に身を堕としてしまった李徴はとてつもない自己嫌悪を抱いたのは間違いなく、李徴の語りからじわりとにじみ出ています。
本当に心にしみる作品となっていて読んでからずっと印象に残っている本です。
読んだことのない方は一度読んでみることをおすすめします。
最後に
いつもの二倍の文章を書いたので大変でした。
今回の記事はほとんどが李陵の紹介となってしまいました。
もちろんそのほかの本も僕にとっては優劣つけがたいのですが李陵は大変難しいお話なので文章に偏りが出てしまったなと思います。
また、つたない文章でありますので魅力をいまいち伝えられることが出来なかったやもしれません。
それでも少しでも上記の作品に対して関心を持って頂けたのなら幸いです。
その他にも芥川龍之介の短編集や宮沢賢治の作品など僕の好きな本はたくさんありますので次の機会にまた書けたらな、と思っています。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
おしり