この素晴らしい世界に祝福を!とヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝を観に行ったので感想文を書きました。
ここから先映画(このすば、ヴァイエヴァ)のネタバレがあるのでネタバレ回避したい人はブラウザバックして。
このすばとヴァイエヴァ外伝の二本。
このすばは以前アニメ観てたよ程度の理解力だったけど全然楽しめた。
このすばは観てると毎回「たりないよにん」の話なんだなぁと思う。
ここからcreepyの「たりないふたり」に掛けてお話を展開していこうかなと思ってたけど、もう1回リリック確認したら「たりないふたり」の主となる文脈は「自虐」であって、たりない者同士で補い合って「さいこうのふたり」になる話ではない(そしてこのくだりは虚ろなオタクの幻覚である)ため完全に筋書きが頓挫してしまった。
完全なオタクの妄想で「たりないふたり」を引き合いに出してしまったので「オタクくんって想像力豊かだよね笑笑」って感じの激痛オタクになってしまった。
今回の映画ではめぐみんが爆裂魔法を打つときの口上に「炎の群れ」と言っているのがかっこよくてよかった。
爆発を炎の集合であるとし、さらに「群れ」という普通は生物を対象にとる名詞を用いて爆裂する状態を例えているところが非生物の生物性を妄想させるのでとても好き。
あと妹の生命と爆裂魔法が天秤にかけられた時に一瞬であれ爆裂魔法が脳裏にチラついていたというめぐみんの心理が本当にエグくてオタクスマイルかましてしまった。
本来ならば即決で妹の生命を取るであろう場面で迷ってしまうほど爆裂魔法がめぐみんの思考に大きい影響を与えているということの危うさがとても気に入ってしまった、これはめぐみんの大きな魅力の1つだと思う。
ゆんゆんが自分の利益を切ってでも妹を助けるために行動を起こしたことの対比が映画の中では演出されていたけど、めぐみんはしばらく自己嫌悪と罪悪感で身動きが取れなかったのではないかと考えてしまった(オタクの妄想)
全体的にめぐみんが活躍してて僕満足!
そしてヴァイオレットエヴァーガーデン外伝、最高でした。
やっぱりヴァイオレットエヴァーガーデンさんは本当に顔が良い。
しかも生き様がカッコよくて品がありバックボーンの厚さが桁外れだからもう各地を飛び回っては相手を魅了して帰っていく、本当に罪作りな女だなと思う。
今回は病弱で殻にこもっている訳ありお嬢様(以下エイミー)を相手にダーリンムーブをかましていたんだけど、最序盤で病弱お嬢様が完璧な対応を見せるヴァイオレットに対して「お高く止まった奴だな、そういう奴は大嫌いだよ(意訳)」みたいなことを当て擦ってて二チャ二チャしちゃった。
実はエイミーさん、元々スラム育ちだったんだけどある日貴族の血統であることが判明し、血筋を絶やさないためにお嬢様として身を置かせられている。
そのような故があって殻に閉じこもるようになり「自由」に対する憧憬や嫉妬の念を持っているんだけど、この映画では度々鳥が重要な象徴として登場しており、鳥が絡むくだりは本当に最高の演出と作画で描かれているのでここを観るために映画館に足を運んでも良いかもしれない。
この映画は前半後半の2話構成になっていて、全寮制の名門貴族のお嬢様だけが通う女学校が前半の舞台だったんだけどモブお嬢様生徒たちが完全にカプ厨、夢女の集団と化していて笑っちゃった。
でも男装したヴァイオレットさんがエイミーをリードする姿から可憐さとしなやかさを感じ取ることができるしとても美しい。
ヴァイオレットとエイミーの舞踏するシーンではエイミーが天井画に描かれた鳥を眺めて「依頼を受ければ各地へ訪れ自由に世界を渡るヴァイオレット」と「自由に空を飛ぶことが叶わなかった自分」とのギャップにある種の諦観を思い浮かべながら、束の間のヴァイオレットとのダンスに興じる一種の刹那的快楽があり本当に良い演出だった。
ここは是非劇場で見てほしい。
次は後半の話。
実はエイミーには血の繋がらない妹(以下テイラー)がいて、後半はそっちにお話が切り替わっていく。
エイミーからの手紙を大事にし続けていたテイラーは自分に手紙を配達してくれた青年(CH郵便社の配達人をしているベネディクトという青年)がきっかけで数年後、郵便配達人を志して運良くCH郵便社(主人公の仕事場)にたどり着くわけなんだけどそこからの追い上げがとても込み上げるものがあった。
エイミーに手紙を書くためテイラーはヴァイオレットに字を教えてもらい、一緒にタイプライターで手紙を書くシーンは心に刺さったし、ベネディクトとエイミーの元へ手紙を届けるシーンは涙腺が緩んでしまった。
そしてラスト。
とにかく一枚絵の華やかさが凄く、ラスト間際のテイラーが草葉の陰で泣くシーンは劇場で観ることができて本当に良かった。
圧倒的作画で描かれる幼児が持つ独特な神秘性や綺麗さ、感情の機微…本当に良いものだった。
このシーンでも鳥が飛び立っており、前半の鳥が天井画で飛んでいるシーンは「自由への諦観」という暗い象徴であったのに対し、こちらは「エイミーと幼い自分の貧しくも幸せな記憶」という前向きな象徴として表現されている。
ここの対比があまりにも美しすぎて圧倒されてしまった。
そして最後の
「君の名を呼ぶ、それだけで二人の絆は永遠なんだ」
この文字列あまりにも愛が詰まっている。
離れていても時が経っても二人の想いは途切れることなく続いていくものであるという祈りを感じた。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンは全編を通して「愛」について描いた作品で今回の外伝も多分に漏れず愛を描いた作品となっている。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界観、作画、音響、デザイン、色彩…その全てが人間の情動を揺さぶり満たしていく。
そんな体験ができた良い映画だと思いました。
最高の作品でした。