消尽の日記

中身も外見もまぁ覇気がない

劇場版レヴュースタァライト 観賞後雑感

 

 

 

追記:2021/6/5 9:30加筆修正

 

レヴュースタァライト観た。

 

ゴリゴリネタバレあります。

 

 

 

 

 

総括

大場なながカッコ良すぎる

真矢クロで号泣

 

今回の劇場版レヴュースタァライトはレヴューが終わった後、その次へ続く舞台にそれぞれが向き合うという話だったんだけど初っ端から強烈に引き込まれた。

 

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何事なんだ。最初から最後までトマトがよく出てくるけど、どうやら覚悟や決意の比喩として使われているっぽい(個人の感想)

トマトの花言葉は「完成美」「感謝」らしい。

 

作中時系列で99期(主人公たちの学年)は3年になって進路を固めたようで、みんながそれぞれ目指すものを定めて進路希望を提出してた。だけど愛城さんだけは進むべき道がわからなくなっていて紙は白紙のままだった。それはスタァライトの再演を行った後どこかのタイミングで神楽ひかりが自主退学したのが理由らしい。

 

アニメ観てる感じだと、基本的に愛城さんは神楽ひかりと運命的な出会いをする(同じ舞台で演じる)ことを第一に演劇の道に進んでいるので、他の99期の人たちと違って舞台への情熱の拠り所が他人に依存している形になる*1スタァライトの再演でそれを叶えてしまい神楽さんが学園を去ってしまった今、舞台に立つ情熱がすっかり枯れて進むべき道もわからなくなってしまった…というのがこの映画のあらすじ。

 

学校行事である歌劇の見学をした帰りの電車でレヴュー*2が突然始まって演目≪ワイルドスクリーンバロック≫が開演された。

 

電車内でゲリラ的に行われた皆殺しのレヴュー、大場ななの独壇場。その場にいた6人を一瞬で圧倒し全員のマントからボタンを削ぎ落とした。大場さんカッコよポイントその1。隣の列車からガス圧で飛ばされた刀を気怠げに「...やっと来た」と呟いてキャッチする場面。いかち〜くてカッケェ…あと全員片付けた後に前髪を掻き上げる仕草がバチバチにイケメンで身体中から発汗した。これは動画でちゃんと観た方がいい。今回の映画では大場さんのかっこよさが盛り盛りになっている。

 

大場ななかっこよポイントその2。星見さんとの狩りのレヴュー。星見さんが狩人、大場さんが猛獣という役回りで行われたレヴューになっているんだけど、最も特筆すべきは大場さんの「ガオ!」(これはマジで聞いたほうがいい)

 

マジで声が出そうになったし思わず胸を押さえちゃった。本当にカッコよくて胸がキュンキュンになったし秒でリアコになった。メモとりながら観てたんだけど手元のメモ見たら「ななさん カッケェ」しか書いてなくて笑った。

 

狩りのレヴューでは星見さんが劇団ではなく大学へ進学することを「演劇で1番を掴もうと手を伸ばし続けること」をやめることだと受け取った大場さんが「変わってしまった」星見さんに失望したのがきっかけに始まった。「変わってしまった」と書いたけど、これは大場なな目線での話で、星見さん的には自分のやりたい事を考えた結果であっての進学なので大場さんが割と思い違いをしていると思う。星見さんも別に演劇やめるとは言ってないし(個人の感想)

 

アニメで大場ななの心を動かしたのが他人の格言ではなく星見純那自身の言葉であったように、映画では星見さん自身が自分の言葉によって奮い立ってみせたのが最高にカッコよかった。

 

そして大場さんが「次へ進むこと」に前向きに取り組むことができたのは本当に本当に本当に良かった。アニメは実質的に彼女の「次へ進むこと」への恐怖に向き合う話でもあったから。

 

怨みのレビューも良かった。特に音楽(曲名:わがままハイウェイ)。花柳さんと石動さんのレビューだったんだけど、石動さんが進路を変えたことを花柳さんに言わなかったことが拗れてレヴューに発展した。

 

わがままハイウェイ、正直めっちゃファンキーで最高だったしデコトラの電飾でギラギラの中堂々と立つふたりがとてもカッコよかった。花柳さん、石動さんにたくさん我儘を言って振り回すけど石動さんへの気持ちは人一倍なところがある。

 

アニメ版では花柳さんが学園を辞めて実家へ帰ると言い出してそれを石動さんが止める話があったけど、映画では石動さんが花柳さんと別の道へ進むことでアニメとは対比的に描かれている。バイクで迎えにきた石動さんが次は花柳さんにバイクを託して次の舞台へ行ったのだなぁ。

 

あと花柳さんが演奏してたピアノを掌に乗せている金色の大仏(夢みたいな演出だけど本当にあった)はおそらく阿弥陀如来なんだけど印相が定印じゃなくて左手の指を上へ伸ばしたものになっていた。仏の手の形は基本的に全て意味があるので何かしらの意味を含んでいると思うんだけど発見できなかった。誰か教えて…

 

 

今回の映画の中で自分は真矢クロのレヴューが1番好きだった。今回演じられたレビューの中では一組だけ毛色が違うと思う。他の組のレヴューはレヴューの終わったその先、次の舞台(将来や進路)とどう向き合っていくのかを問い立てとしてレヴューしているけど、真矢クロ組はすでに自分の中で確固たる将来像があるので、次の舞台への想いを相手に重ねる戦いというよりも「天堂真矢に自分をライバルと呼ばせたい西條クロディーヌ」vs「更なる高みである究極の舞台人となることを標榜する天堂真矢」の戦いになってた。

 

究極の舞台人とは舞台上で何者にでも成れる、であるが故に何者でもない「役を演じる空っぽの器」であることを指し示すんだけど、西條さんは自分が見てきた天堂真矢はもっと自我が強くて嫉妬深い人間だと言い切り「空っぽの器」である天堂真矢を否定し、そしてレヴューで想いを重ねていく中で天堂真矢の本心を引き出させて、天堂真矢本人に本当の自分を曝け出して勝負できるのは貴方だけだとまで言わせしめていた。西條クロディーヌさん、最強やね。

 

レヴューの終了条件が本当の煌めきを見つけるに変わっていることで一度星を飛ばされた西條さんがもう一度立ち上がって見せたところだけど、

 

アニメの時からずっと西條さんは天堂さんに執着してる(そしてそれは天堂真矢自身もそう)

-star divine-フィナーレの時から変わってないし今回はアニメの延長戦をやっていたと言っても良いと思う。

以下歌詞

それぞれの心に それぞれ秘めた想い

凛々しい横顔 激しく火花散らす

まばたきも出来ない この瞳をそらせない

ぶつかり合っても 貴方のこと信じてる

舞台の真ん中には たったひとつの場所

だけどもう 孤独じゃないよ

 

これを西條さんが歌ってたわけだけど天堂真矢への情を全く隠してないね。映画内でも天堂真矢のライバルでありたいという気持ちが強くて、純粋な言葉で天堂真矢への情が語られているのでアツい。

 

相手への感情を隠さないというのはどの組でもそうだったんだけど、そもそもレヴューとは舞台少女が想いを打ち明け合いながら行われるものなので互いに剥き身の言葉が飛び交い、動物的でありながらも輝かしくて眩しい活劇が演じられている。キリンが病み付きになるのもえぇ、わかりますって感じだ。

 

あとレヴューのシステムをねじ曲げてまで本心の天堂真矢と戦いたいという気持ちでボタンを撥ねられたら負けという原則を無かったことにしたの本当にカッコいい。天堂さんがレヴュー(歌劇)の原理を捻じ曲げたことについて冒涜的だと激憤してたけど、そこまでの感情を見せる相手は西條クロディーヌ以外になく、天堂真矢自身にとっても西條クロディーヌという人間の存在はとても大きいという事実が本当に好き。

 

それと愛城さんがでっかい金属のバミリになってスピーカーを車体にギッシリ搭載した電車に鎖で括り付けられて砂嵐の中に入っていくシーン。ゴリゴリにマッドマックスのパロディでびっくりした。このまま銀のスプレーを歯に塗布して英雄の館に行っちゃったらどうしようと思いながら観てた。

 

スタァライトが終わり煌めきを失ったために一度死んだ愛城さんが最後は思い出を燃料にして煌めきを再生産した場面で拳を強く握ってしまった。曲も大団円な迫力あるものになっていて次へ進むこと、次の舞台を見出すことへの賛歌であったように思う。

 

書きそびれてたけど露崎まひるさんが怖すぎる。愛城さんを本気で想っている人なので愛城さんに誠実に向き合わない人への反発の気持ちが物凄くデカい。怨みのレヴューより怨みしてたと思う。でもこれは全て愛城さんを想ってのことだし、最終的に神楽さんが自分の弱かった心を吐露したときにはこれからするべきことを優しく説き、神楽さんを愛城さんのもとへ導いていたので激情だけでなく愛情も持ち合わせた人なんだなと思った。

 

最後に愛城さんがレヴューで自分なりの進む道を見つけることが出来たのも良かった。

 

パンフではスタァライトの最後のフローラのセリフをそれぞれが解釈して自分に合った台詞に変えている台本が載ってるんだけど、愛城さんの台本の最後が「空っぽだからこそ私は歩き出せる。星の光がなくても、もう一度、新しく。」なのが本当に美しい。みんなそれぞれが歩いてきた「次の舞台への歩み」という場に愛城華恋だけが一歩も踏み入れておらず、愛城華恋だけが新雪の野を持っていることが示唆されているから。

 

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本当にいい映画でした。まだまだ拾いきれてないからもう一回観に行きたいね。

 

特典色紙は大場ななさんでした(𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬)

 

 

おわり

*1:西條さんもかなり天堂真矢に執着しているけど、天堂さんと一緒の舞台で演じることが第一ではない

*2:舞台少女たちがトップスタァに昇り詰めるためのオーディション。歌い踊りながら戦い、肩掛けマントのボタンを撥ね落とされた方の負け