Hotline/Window/Venus
朝永恵
ももの香でべとべとになるトーストをそばで見ていた小さな花瓶
食卓は七日に渡って囲まれた 熟れたバナナのヘタをもぎった
冷たさが背を伝う汗、擦りむいたフードコートのサーティーワンで
盛夏 サツキの首が冷えている引き算の良さとはこのことか
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そのチャリの前ブレーキは引かないで 小石を蹴って曲がるハンドル
風を薙ぎ草木を梳いた円盤のエンジンだけが聴こえる不在
段取りは手短にかつ迅速に 毒短刀を壺から抜いた
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映し出す夕陽が塗ったスクリーン 麦の波間で惑う金星
忘れてた甲虫の背から立つ匂い暮れた並木の袖の幼年
窓枠に溢れて落ちた眩しさとカーテン柄の床は何処(いずこ)へ
買い物が下手くそなので本日は二度目のコンビニ二度目のアイス
もしもしと聞かれて答えたる形 「作っているのは短歌なるもの」