消尽の日記

中身も外見もまぁ覇気がない

2月の月詠「オレンジピールをひとりで食べる」短歌14首

 

オレンジピールをひとりで食べる」

 

7時半オレンジピール入りのチョコ/湿った部屋で2分割する

 

面映い かみのけをほめられたからビニール傘を花柄に開く

 

全焼の報道を見て焼きめしを食べる机の赤い中華屋

 

先鋭な手触りのある陽光が壁に刺さって黄ばみとなった

 

オレンジのスパイクを履いて海に行く少年を見た 夕暮れのこと

 

横顔にまばらに生えたもみあげと海から見える夕陽の熱さ

 

踏んでいるレールの軋みが激しくて貨物列車の近づく気配

 

揺れているオレンジに照る快速が就活生と2月を運ぶ

 

均一に並ぶ団地の踊り場の蛍光灯の清潔な白

 

窓枠の冷気でさえも自分だと思って毛布を抱えて眠る

 

 

マイナビの通知を確認する右手/オートミールを温め終わる

 

タコベルでドクペを飲んでiPhoneを竪琴みたくスワイプしてる

 

あすぱるてーむ 呪文みたいな字面だと思ってコーラのラベルを剥がす

 

隕石の衝突予告を聞きながらペパロニピザをひとりで食べる