消尽の日記

中身も外見もまぁ覇気がない

7月の月詠「大学生」「浜辺」短歌13首

 

「大学生」

朝永恵

 

彦星を置き去りにして早馬は第四宇宙速度で駆ける

 

牛めしにプロレタリアが映りこむ滑走路から飛行機が飛ぶ

 

テレビから万歳三唱 冷蔵庫からスパゲッティをひと束掴む
 
飛び出した サークル棟の隙間からピザを抱えて走る学生
 
肌をさす風が穏やかさを帯びる遠い囃子と午後4時の蝉

 

休憩室のロッカー前に掛けてある白Tシャツが臭くたなびく

 

(にこやかな黄色人間)文末に帰宅途中に惰性で送る

 

寝る前に「いらっしゃいませ」の声出し思ったよりも声が出ている

 

ラッシーに家族が買った蜂蜜を勝手にくすねて溶かす7月

 

来年は社会の人となるのかと思う家族と肉を食べつつ

 

「浜辺」

 

浜辺から詩を引き戻す一粒の硝子は露に閉じ込められて

 

遠い国浜辺の家で待っている鳴らない電話の番を今でも

 

浜辺には日々の残滓が打ち上がる空の青にも海の青にも溶け残るから